アフガニスタンの北の国境を流れるオクサス川流域を古来バクトリアと呼んでいました。中国の僧、玄奘の「大唐西域記」にあるトカラ(都貨羅)国にあたり、イスラム以後トハリスタンと呼ばれた地方を指します。
1964年代に発見され、1965年からフランスが発掘にあたったこの遺跡は「月の貴婦人」=アイハヌムと呼ばれていましたが、古代の呼称ではありません。紀元前3世紀ごろに栄えたギリシア・バクトリアの都の一つだと思われます。
アイハヌム遺跡はアムダリア川(ギリシア文献ではオクサス川)とコクチャ川の合流点、三角形の突角にある東西約2キロメートルにわたるギリシア的な都市遺跡であり、中央アジアで初めて発掘されたギリシア風都市です。この遺跡の発掘によってヘレニズムがアジアの奥深くまで浸透したことが明らかになっただけではなく、その文化の高さでも注目されています。

 
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