アフガニスタンの中央を貫く5000メートル級の山々からなるヒンドゥー・クシュの崖に刻まれた仏教遺跡です。バーミヤーンは緑豊かな渓谷で遺跡は紀元5〜6世紀に造られたといわれます。
遺跡は東西全長1500メートルの南を向いた崖に720以上の石窟が掘り込まれています。高さ55メートルを誇る世界最大の立仏像として知られる西大仏をはじめ、坐仏像や礼拝するための仏堂や修行のための僧窟などが造られ、石窟内は壁画や塑像などで美しく飾られていました。インドで生まれた仏教は中央アジアや中国、朝鮮を通って日本に伝播しましたが、その途中最も西へ伝わった地がバーミヤーンだったのです。
東西文化が融合するバーミヤーンの仏教遺跡は世界中の探検家たちの憧れの地でした。中国の僧、玄奘三蔵は仏典を求めて紀元7世紀の中頃バーミヤーンを訪れ、その時の記録が「大唐西域記」に書き残されています。その書中にしるされた約300メートルもあるという大涅槃像(だいねはんぞう)はこれまでどこにあるか知られていなかったが、2003年10月、日本隊による遺跡の地下探査により発見の可能性があると公表されました。
25年以上続いた戦争で遺跡はひどく破壊されましたが日本政府がユネスコに供出した日本信託基金により、世界各国の専門家が協力して調査・修復・復元の作業を始めています。

 
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