中国西安から敦煌を結ぶ河西回廊(かせいかいろう)は山脈と砂漠の間にできた回廊状の地帯を指し、黄河より西の地に位置することから河西回廊と呼ばれています。甘粛省永靖県の西約17キロメートルにある炳霊寺(へいれいじ)石窟は、回廊山中に黄河をせき止められて造られました。敦煌の莫高窟、天水の麦積山石窟と並び、中国甘粛省三大石窟と呼ばれています。
「炳霊」はチベット語で十万仏を意味し、したがって炳霊寺石窟とは幾万もの仏を奉る石窟ということになります。創建は4世紀末または5世紀初頭と言われ、約300年間にわたる造営によって石像や塑像、壁画などで飾られ石窟が183窟ほど現存しています。水際にそびえる崖に彫られた高さ27メートルの大仏坐像。上半身が石彫で下半身が泥塑で造られ、風化による破損が見られます。炳霊寺石窟の中で最も古い造窟の第169窟は高さ約6メートル。20畳ほどの広さに飛天図や説法図、穏やかな表情を浮かべる石像や塑像などが点在しています。石窟内の壁面に西秦建弘元年(420年)の墨書銘が記されています。

 
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