シルクロードの地図のお話

100年ほど前のシルクロード探検隊が作ったシルクロードの地図、これには大きな謎がありました。地図には遺跡の場所が記されているのに、そこに行ってみても遺跡が見つからないことがたびたびあったのです。この遺跡は果して砂漠の中に消えてしまったのでしょうか?そんな謎を解いてみましょう。

地図を作ることは難しい?

みなさんは地図を作ったことがあるでしょうか?身の回りの道路の形や建物の形を紙に書き写していくと、やがてどの場所がどこにあるのか、お互いの位置関係が見えてきます。このような手書き地図でも、簡単な道案内をするぐらいなら十分かもしれません。道案内をするなら、看板が見えてきたら右に曲がるなど、方向を転換する重要な地点の目印さえわかれば、なんとかなるからです。

しかし、ある地域の詳細な地図を作ろうと思ったら、このようないい加減な手書き地図だけだとうまく作れません。ある場所の道をきちんと書いても、隣りの場所の道を書いてみたら、うまくつながらないというような問題が出てくるからです。そのようにならないためには、地図の元となる情報である距離や方向をきちんと測ることが必要になります。これを「測量(そくりょう)」と言います。

距離を測る方法はいくつかあります。例えば「歩測」という方法では、何歩進んだかを数えて、それを距離に変えていきます。でも、1歩の距離ってどのくらいでしょうか。みんなバラバラでは困りますよね。だから、この方法を使うにはいつでも誰でも同じ歩幅で歩けるように、きちんとトレーニングしなければなりません。それは大変ですが、道具がいらないという点は助かります。

道具を使うなら、最も簡単な道具の一つとして車輪を回すという方法があります。車輪の円周は事前に測れますから、その車輪が何回転したかを数えれば距離を測ることができます。車輪をまっすぐ進めないと距離がきちんと測れないなどの問題はありますが、便利な道具として昔から使われてきました。

現代の地図を作る時には、このような原始的な道具は使いません。何といっても、宇宙空間を飛ぶ衛星からの信号を使うGPSという便利な道具があるからです。カーナビからスマホまで、ボタン一つで現在地を簡単に知ることができますよね。ところが、GPSというのが本格的に普及し始めたのはそれほど昔のことではありません。それより前は、現在地を簡単に知ることは難しかったのです。

経度への挑戦