ペリオ敦煌図録図版解説 第1巻 図2

沙武田 (敦煌研究院文献研究所研究员)

敦煌莫高窟北区の洞窟風景。東北隅の大泉河東岸、現在の莫高山荘・駐車場から西北方向を撮影。一枚目の写真と同時に撮影されたもので、大泉河は凍り閉ざされている。この写真により、北区の石窟群一帯は河と崖がごく接近しており、一部分の洞窟は河床の表面、或いはそれより低くなっていることがわかる。このことは、何故に莫高窟北区石窟の最下層の洞窟の中に、等しく洪水で何度も水浸した痕跡があるのかを説明し、北区石窟の最下層の崖表面が浸食によって落ち込んだ原因の有力な証明にもなっている。現在の莫高窟北区石窟地域は、河を人為的に東に10メートル余り移動させ、3メートル近い大きな堤防で補強し、防砂林を植えたことで、当時の景観と全く変わっている。

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