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Y寺院 / Terrassentempel Y

第一次ドイツ=トルファン探険隊が調査した高昌故城内の仏塔遺跡。佛龕を伴う三段の塔が特徴的な形状をしていた。現在は基壇のみが残る。

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Terrassentempel Yと現代調査
 このような調査報告の統合は、現在行われている調査との間でも行うことができる。例えば、Terrassentempel Yの例を見てみよう。Terrassentempel Yはグリュンウェーデルだけでなく、スタインや大谷探険隊も調査した三重の塔で、元々は南北25メートル、東西20メートルのテラスの上に建っていた。一番下にある一層目は南北16.1メートル、東西は15.2メートルで高さは3メートル、二層目は南北13.7メートル、東西12.8メートル、高さは2.4メートル、三層目は南北11.3メートル、東西10.4メートルで高さは1.6メートル、周囲には仏龕が穿たれ、外城東部のよく目立つ建築であった。図57左に示すようにTerrassentempel Yはグリュンウェーデル図に記入されており、外城城壁が内側に屈曲する部分の先端からほど近い場所にある。図57右は、衛星写真上で拡大した該当位置である。城壁の屈曲部の先端から真西、丁度グリュンウェーデル図が指示する場所に、Yに相当する遺構の形があるのがわかる。図58左はグリュンウェーデル調査時のTerrassentempel Yの写真、図58右は該当位置の現況である。三段の塔であるTerrassentempel Yは現存せず、基壇のみが残っているに過ぎない。現在見えているのは一層目の数値に近く、南北17.5メートル、東西15.3メートルある。既に段の境目もはっきり残っておらず、計測すべき場所を特定するのも困難である。
 図59は、Terrassentempel YとYの西北にある遺構を示した図である。この遺構は2009年に新疆考古研究所によって発掘されたもので、Terrassentempel Yの位置が特定されることで、Yはどうやら北部にある別の遺構と連続しているらしいことが見て取れる。
このように、個別の遺構の位置が明確になることで、探検隊のみならず、現代の調査とも補完的に利用することが可能になってくる。


図57 Terrassentempel Y 左:グリュンウェーデル図 右:GE衛星画像

図58 Terrassentempel Y:左、MIK B 917(北から) 右、現況(北から)


図59 Terrassentempel Yと西北にある寺院

(出典:西村陽子, Erika Forte, 北本朝展, 張勇「古代城市遺址高昌的遺構比定 : 基于地図史料批判的絲綢之路探険隊考察報告整合 」『西域文史』第9輯、2014年、195-197頁)

2021年12月8日作成)

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  • Stein Place Name - Innermost Asia / Kara-Khoja
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