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0496 羽田博士史学論文集 : vol.1
羽田博士史学論文集 : vol.1 / Page 496 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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帖木兒大王

一 序 言

亜細亜大陸の中でも露領中央亜細亜の地方は、吾々日本人にとっては最も縁遠いものゝ一つであらう、此の地方に輩起した英雄帖木兒の傳を極めて手短かに叙するといふことは、筆者には左程容易の業ではない、それは簡單なる鉄達によって其が縁遠い事柄を、成るべく明らかにしたいとする目的の爲には、勿論事細かし考証などに入ることは出来ぬ。またその一生を通じての長々しい年代記やうのものも避けねばならぬ。偶合に耳新らしいと思ふことを合ひ集めて普通に知れ亘つて居ることを補ひ、それで此の英雄の一面を少しでも多く寫すことが出来たならば満足しなければならぬ。始めに此れ丈けのことを斷つておいて彼達に入らうと思ふ。

二 帖木兒の家系

帖木兒の生れたのは西洋紀元三百三十六年、日本では丁度新田義貞が鎌倉に擊ち入って、高時に詰腹を切らせた年である。父の名はツカイと傳へられて居る。中亜に名高いサルカンドの町の南の方、ケシュといふ所で生れたのであった。今は緑の町なる意味でシャリ・サブズと呼ばる、所である。嘗ては蒙古族として傳へられ居つ

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