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0576 羽田博士史学論文集 : vol.1
羽田博士史学論文集 : vol.1 / Page 576 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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大月氏及び貴霜に就いて

本稿は大體昭和五年五月十日史學會大會の公開講演で読んだ覺記の講演の速記に據り、それに或る程度の整頓を加へ、且つ文籠に更改を施したものに外ならぬ。これを「國の研究論文として發表する爲には、幾多の論證を添加しなければならぬと共に、是余の積りであつたが、諸種の事情の爲に得なかつたことである。それで宮稿を促された際には、せめてこれらの論證の大部分を添加した形として附け加へる。ここに述べた所だけでも大體讀者の諒解を得ることが出來るであらうと信ずる。併しながら余が述べんとした趣旨については更に詳論する機會に譲りたい。

東洋の歴史に於て、月氏及び貴霜に關する問題は、種々の方面から繰り返し繰り返し攻究され、甚だ重要で且つ深い興味を有するものゝ一つである。これらの問題は、今この講演に於て私の目的とするところは、第一に月氏と貴霜との關係、第二に月氏及び貴霜という名稱、これらの二つの問題について、今日の學界に相當勢力を有してゐると考へられる學説が果して是認せらるべきものであるかどうかを検討して見ようとするのである。

御承知の通り、これらの問題に關する根本史料は極めて僅かの記述に過ぎないのであつて、史記の匈奴傳・大宛傳、前漢書の張騫傳・西域傳、後漢書の西域傳等の中の數節を主要な據とする外はない次第である。それではこ

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