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『東洋文庫所蔵』貴重書デジタルアーカイブ

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0580 羽田博士史学論文集 : vol.1
羽田博士史学論文集 : vol.1 / 580 ページ(カラー画像)

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doi: 10.20676/00000267
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議の次第といはねばならぬ。何となれば、後漢書西域傳が大夏の五朐侯の成立について記して居ることは、然く正
鑑で疑ふき餘地の無いことは考へ得られないからである。余はずっと以前から後漢書のこの記事に疑を抱き、大學に於る議義に
五朐侯、従つて貴霜王家を月氏種族の王家と見ることは、何等の證據もないことあると信じ、大學に於る議義に

も繰り返してこの次第を述べたのであったが、その後我が桑原博士は、「續史的研究」に於て「張騫の遠征」と題し
た 雄篇公刊にせられた頃、余に対してこれと同じ考を話されたことがあり、余も後に同様に解釋して居ると答
へたことがあった。桑原博士は既に余に挙げた論文中の一節に於て詳密にこのことを論ぜられ、従来行はれて居
る説の足らざることを明らかにせられた。若し余の知の一篇に於て過ぎないならば、學者それぞれ行はれて居
して居る所は別として、公けに袭されたこの廣く行はれるない為論述したのは、この一篇のみである。
然もこの研究を載せた「續史的研究」がこの問題は昔来の考の下に拠はれて居るない為論述したのは、比較的反響を呼び起したことが少く、「西洋
に於ては勿論、我が国に於ても別として、例へば月氏の人種を論ず
逈王を説くものがみなこれを甘蔗地方に拠った月氏の後身と考へて疑はれて居ることなき如き、或は月氏の逆賦色
に常り、貨幣に刻出せられてある逈謨色逈王を一つの根據とするが如きことが起こと、かくこの論文中の一節が
一般に知られてないとすれば余は先づ政で、にその要旨を紹介して置かねばなるまい。

大月氏種族の建てたものと認められて居る五朐侯は、漢書の本文を正常に解釋するならば誤った認定で、較ろ大
夏に属するものと認めるが至常ではあるまいか。この五朐侯のことを初めて書いて居る漢書の西域傳には、

五四二