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0588 羽田博士史学論文集 : vol.1
羽田博士史学論文集 : vol.1 / Page 588 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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らねばならぬ。然るにこの事が既に信す可らざることであり、単に漢史
の上に於るぬ。然るにこの事が既に信す可らざることであり、単に漢史
の上に於る富士の稱呼に過ぎないとするならば、大夏語即ちトクハラ語即ちクシャンを月氏と稱することは、
一方に月氏語と呼ばれたと見る可き理由は存しな。即ちトクハラ語の別名であると考へられる Bāḵt、語と
いふ名を、史乘に見える事実の上から見る月氏語

に相當するものとして理由づけることは出来ない譯である。

 併しながら上に述べた次第を逆に見て、トクハラ語の別名を解し、これに依つて漢史、
のと考へられるから、この等の確實であることを證すべきであるといふ説が主張されるかも知れない。かゝる説に對して
ひ、後漢書の記事の字の確實であることを證すべきであるといふ説が主張されるかも知れない。殊に前漢書の記事の不備を補
は余進んで月氏の字の確實であることを證すべきであるといふ説が主張されるかも知れない。

適當の見解とは認め難いと主張しなければならぬ。何故かといへば、第一には月の字面音以て漢を寫すに用ゐられた用
例を見出し得ず、却りて、語頭に Bāḵt; 音を有する〔月〕とかれを寫すに用ゐられたであらうか、それよりも遙かに遠な、第二には Bāḵt; 字の如きがこの
人を苦しんで語頭に Bāḵt; 音を寫すに用ゐられたであらうか、それよりも遙かに遠な、第二には〔安〕を寫す鳥ならば漢
時代に Bāḵt;(安息)の Bāḵt; を寫すに用ゐられて居るのに鑑みても、これを疑はしめるにしても、実際に思はれるからで
ある。要するに音韻現象の上からは月氏と Bāḵt; 及び Bāḵt; との相應が一應認め得られるにしても、実際に思はれるから
の上から考へて見て、これを適切な解釋と承認することは出来ない。

 爾又注意しなければならぬことは、月氏語とトクハラ語とは、もし〔月氏〕は Bāḵt; であるとするならば、トクハラ語は一に Bāḵt; 語と稱し
たといふのだから、月氏語とトクハラ語とは、もし〔月氏〕は Bāḵt; であるとするならば、トクハラ語は一に Bāḵt; 語と稱し
たといふのだから、これらの人々の考に依ると、トクハラ語は一に Bāḵt; 語と稱し
たといふのだから、月氏語とトクハラ語とは同體異名である。ところでこれらの人々の考に依ると、トクハラ語は一に Bāḵt; 語と稱し貴霜即

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