National Institute of Informatics - Digital Silk Road Project
Digital Archive of Toyo Bunko Rare Books

> > > >
Color New!IIIF Color HighRes Gray HighRes PDF   Japanese English
0678 羽田博士史学論文集 : vol.1
羽田博士史学論文集 : vol.1 / Page 678 (Color Image)

New!Citation Information

doi: 10.20676/00000267
Citation Format: Chicago | APA | Harvard | IEEE

OCR Text

ここに便宜上少しく説明を付して置かねばならぬが、一體前世紀の半頃から非常な進歩をした印度歐羅巴語學に於ては、言語の分類に關しても非常に都合好く纏まりのついて居たもので、印度以西に於る同語族の間に八派十纒の區別を立て、而して此の間に大きく東西の二大派即ちサテム語派とケンツム語派とを別けたものである。此の二派の區別は東西兩者の古語を比較して見ると、サテム(Satem)(イラン語「百の義」)ケンツム(Centum)(ラテン語「百の義」)の語が示すやうに、一方はSの音をもって居るのに對して他方ではKの音をもって居るものが多いという現象を基にして、東派をサテム派と呼んで西の派をケンツム派と呼んでいた。西の派の論拠をケンツム派と呼んでいたのであるが、更に此の都合よく出来た新發見の結果によれば、此の八派十種語の區別は亦變更しなければならぬのになって来たのである。何故かというに、一九〇八年に於けるクーデルの東西兩派も亦變更しなければならぬのになって来たのである。大別をも亦變更しなければならぬのになって来たのである。
(Sieg)及びジーグリング(Siegling)二氏の研究によると、此のトカラ語(實は龜茲語、筆者語)というものは他の三国の東方印欧語と同様にサテム派に属するものではなく、却ってケンツム派に属するものであるから、今試みに三国の數詞を比較してその實例を示して見ると

Kanta(龜茲語 100):希臘語 ἑκατόν, 拉丁語 Centum, ゲルマン語 hund (h<k), 梵語 Śata, イタリ語
Satem, スクラブ語 Suto, ゲルマン語 Zsintius
Śilkā(龜茲語 10), Śakā(焉耆語 10); 希臘語 Śexa, 拉丁語 decem, ゲルマン語 tallun; 梵語 daśa, イタリ語
語 deśati, ゲルマン語 Ōzero, 拉丁語 octo, ゲルマン語 ahtau (h<k), 梵語 aṣṭā, aṣṭau, ゲルマン語 azztuni
okatā(龜茲語), ゲルマン語 deśniti

六四〇