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0769 羽田博士史学論文集 : vol.1
羽田博士史学論文集 : vol.1 / Page 769 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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に、新たに諸稱の変調が現はれた。爾後の國家社會に発生した変革は即ちこれである。就中注意しなければならぬ
のは、個人の實力の表面に現はれ來つたことで、實際に當つて何等爲すなき門閥の權勢の如きは、先づ以て凋落す
べき運命に遭遇し、統治子弟の白面の前に、屏鐵にも響ぢられた武人の跋扈跋渠が現出し、科擧出身の多くの遠材
の響養は、また彼等をして後へ前へと陷穽たらしめた。
 かくて大龍以前に重んぜられた貴族の系譜の穿鑿の如きはもはや政治上には顧られず、冠覊皂隷混じて一つとなつたといはれている。されば若し貴族政治の衰亡と庶民階級の進出といふ觀點から近世といふ時期を區別するならば、正にこの大龍の終りに
時を以てこれに當てるべきであらう。

      宋 時 代

   太祖の抑武と君主權の伸張

 唐末から五代を通じての時代はいはゆる下剋上の世の中で、個人殊に武人の勢力の覇争相搏に始終し、社會の秩
序は紊亂し、大義名分は地を掃ひ「君を置くことも吏を易ふるが如く、國を變ずること傳舎の如き、有樣であつた。
かゝる有樣は武人の勢力の根源即ち彼等の有する兵力の上に適當なる處置を加へざる限り、いつまでも繰つても變る
べきでないのは明らかなことである。この處置において成功したのが宋の太祖である。太祖が即位の後、その臣從

七三一