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0787 羽田博士史学論文集 : vol.1
羽田博士史学論文集 : vol.1 / Page 787 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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北方亞細亞に於ける遊牧民の社會的生活

遊牧民の社會的生活といふことは割合に注意せられずに過ぎて居るやうに思ふから、簡略にその一部分の狀態を書いて見る。但しこゝではその狀態が昔も今もあまり變らぬものであるといふことを述べるのが主旨である。

遊牧民はその畜類を養ふ爲に土地を要することは言ふ迄もない。ところで其の土地が畜類の生育に適當なる條件を具有すれば、畜類は繁殖するが、知らざれば減少して仕舞ふ。芝にければ漸次彼等所有の畜類に不平均が生じ、多數にこれを所有して居るものは少數の所有者よりも多くの土地を有せねばならぬ事になる。また畜類はその繁殖の爲には、夏冬の季節に各々適當な條件を必要とするから、此の爲にその所有者は夏の牧地と冬の牧地とを選べね

ばならぬ。然るに比等の牧地は時には數里若しくは數十里も離れて居ることもあるから、遊牧民は夏冬の季節に從つて展い土地を彼方此方に移らねばならず、またその間には畜類を盜まれないやうに、始終自衞の方法を講ずる必要があ
る。しかし此方に到底單獨では、同能はぬことであるから、偶々の家族は大なり小なり確かりと聯繫がついた社會的集團に成つて、共同作業を營み、内部の不靜を保ち、外部の侵略に備へねばならぬことになる。露西亞のラ
ドロフ博士は嘗てトルコ族中のキルギス穩族の社會的生活を長い間觀察して、その有樣を記述したことがあり、ま

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