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0791 羽田博士史学論文集 : vol.1
羽田博士史学論文集 : vol.1 / Page 791 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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と成ってしまった。何故かといへば露西亜政府は此等の團體がその勢力を發展することを
禁じたからである。往昔此の遊牧民が盛であった時には、此の異性を合併し統一して行くことが、更に大なる團體になることを
成したまた發展する所以であったのだが、今はかゝる次第で、露西亜治下にある遊牧民には、此の事が全く不可能
に成ったのである。

以上は現今のキルギス族の社會生活の大要である。凡そ遊牧民の間には、古来その自身の間に於る著しき文化の
發達なく、また開明諸國から影響を受けたことも割合に少く、偶々之と接觸してその文化を輸入すべき機會に遭遇
しても、遊牧なる生活上の條件に支配せられて、之を受け入れることが出来なかったから、今日彼等の響んで居る
社會生活は、往昔に於る文明國の文化と大差ないものと考へて然らぬと思ふ。同時にまた注意すべきことは、彼等
はかゝる理由によって文明國に容易に他方に移り得たもので、しかも同様の遊牧生活をして居る民族互の間
には、一方に行はれたことが容易に他方に移り得たものであるが、此の點については此等遊牧國相互の間に於る民族互の間
傳播は遙かに容易であったと見なければならぬことである。果してば此等遊牧國の歴史を研究し、その眞相を
捕へる爲には、現今に於る彼等の状態を知感することが、第一の必要條件であらねばならぬ、彼等の社會状態につ
いて、史の記す所は極めて簡單で、それのみに依っては殆んど何等の事情も解り得ぬものが多いのであるが、現今
の状態より推せば必らずしも然らざるものがある。今試みに上に述べたキルギス族の社會生活を基にして、古史に
記せる三三の事柄を解釋し、かねて現今の状態が如何に古くから遊牧民の間に行はれて居るものであるかを探れて

北方亞細亞に於る遊牧民の社會的生活

七五三