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0803 羽田博士史学論文集 : vol.1
羽田博士史学論文集 : vol.1 / Page 803 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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混乱を生じてゐない。たゞその中に單語として外來語を取り入れて居ることは決して少くはなく、今日我々が普通
本來の日本語のやうに考へて居るものも、少し外來語を試みると案外外來語に歸せなければならぬものが多いのに
驚かざるを得ない位で ある。諸稱文化關係の言葉や動植物の名稱に於ては、いふまでもないが、古代からの生活必需
品の名稱、例へば「こめ」とか「きぬ」とか「かね」とかいふやうな言葉についてすら、かゝる見解を施すのが適
當であるやうに思はれる。然しながらこれ等多數の外來語は、諸稱文化關係の特殊の機能を國語の中に保有してゐるのではない、即ち國語
に從って使用されてゐるのであって外國語としての特殊の機能を國語の中に保有してゐるのではない。この鳥に國語
が外國語の爲に驚かされたといふやうなことはなく、古い時代から自由に外國語を攝取して國語の機能を助けたが、この鳥に
である。かやうにして我が國に於ては、逢に日本固有の言語が傳へられた外國語が國語の機能に同化されてしまったの
語が破壞せられたり衰亡を見たやうなことはなくして今日に至って居るのである。その間に著しい差違の存することが
然るにこれをまた前に見たやうに東亞諸國に於ける有樣と比較して見ると、支那文化に心醉する餘り、
認められる。西紀ほゞ五世紀時代に、北方支那に勢力を振った鮮卑族の魏の國では、支那文化に心醉することが
その固有の言語即ち鮮卑語を用ひることを禁止してすべて漢語を用ひさせることに定めた。かくて鮮卑族の精神は
言語を失ったの先驅として衰亡し、全く漢文化に同化されて遂にこの種族の滅絕を見ることになった。また前
逢女眞即ち金の如き も同樣で、漢文化の影響を受けると同時に忽天な勢でこれに同化し、漸次その國語の保持に力め、國語の維持
て漢語を用ひることになった。この有樣を憂ひて金の世宗は女眞固有の文化の保持に力め、國語の維持
についても非常に努力したのであったがそれにも拘らず漢文化心醉の勢は泊々として防止することが出來ず、遂に

外國文化の影響

七六五