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0063 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 63 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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部より出でたる人の名に冠して、性として用ゐたること、假令は僿固僿昆の如けれぱ、僿固僿といふものも、僿固
より回僿の可汗を有したるものなりしこと疑ふなかるべし、果して僿固側可疑したるものなるかも知らず、而して彼
方の回僿の汗は、此の後日から僿固側可疑汗或は僿固の回僿可汗行されたる高昌地
面に見ゆる bïrü (bïrüs) bïr, Qan, 摩尼教交書に見ゆる bïrü bïrü (bïrüs) Nïn といふものは、かゝる
語を寫したるものと推察するに非ず、常に必ずしも然るに非ず、入聲音kを有する外國語を寫す場合には、k音は消えするこ
とあれど、假令ば大唐西域記卷四に以て僿僿㊟ を寫したたるものと
るが如きは其の一例なり、されば僿(puk, huk)は buy, 固(ku, ko)は (Čïnïkï, Čïnïkï) を寫したたるものと
見れば、音譯の上に於て都合の存するのなし、但しかく見れば之が羊可汗の名に鑄造せられるものな
上に述ぶるが如く以て、此の貨幣の存するのなし、但しかく見れば之が羊可汗の時に鑄造せられるべきに開元
りと見ゆるからざること如置なるが、別に此の貨幣を銭置形式の上等より考ふるに、此の貨幣は後に述ぶべき開元
頃のものと思はる、突騎施(Türgïs)の貨幣とは大に異り、厚さは薄く、其の含有せる銅の分量は甚だ少く、黒色
の面の磨出されたる一部分は貨幣色を呈し、宋の宋、突騎施の貨幣が銅色を呈はせるに比すれば遙に後のものたらざるべか
らず、之を形及び質の上より考ふる時は、古銭に關する多くの考鑑色を有する奥平昌洪氏の著に述れる所なり、余は別に書幣の上よりも、此の貨幣が
所藏者にして、古銭に比して、後代のものなるべきを推定するものなりと雖、此の考は資料の少き今日に於ては、未だ之が絶
突騎施の貨幣に比して、後代のものなるべきを推定するものなりと雖、此の考は資料の少き今日に於ては、未だ之が絶
對的の證左と爲すには足らざれば、今茲に強いて此の點より見たる推斷を下さざる可し。