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0065 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 65 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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行はれたる説にして、既に一二四五年羅馬王の使命を奉じて蒙古に使せし Plan de Carpin は「Uigur はネスト
ル教徒の用ゐたる文字を用ゐせり」と記し、一八一〇年 Klaproth 氏は、中世紀に於て蒙古地方を訪ひたる僧侣及
び Marco Polo への記する所に依れば、此の地方、特に Uigur 人の間にネストル派の基督教が行はれたる知るべ
し、思ふに之を傳へたるものはシリヤの僧侣なるべし、此の僧侣に依りてシリヤ文字も傳へられ、而して此の文字
より更に回鶻文字が發達したなるものとなることは明らかなり、何となれば、回鶻文字は次に示す文字の連接の方法にシリヤ文字
と個々に類似を有するのみならず、又其のサベイ文字 (Sabaïsches) 及び形に於ても文字の連接の方法にシリヤ文字
も、全く合一するものなること、赤次第によりて明らかなれば㊀、と云ひて、回鶻文字とエストランゲロ (Est-
ranghelo)、シリヤ、ネストル教徒の用ゐたる文字との對照表を掲げたり、而して氏の記する所によれば、此の類
似につきては既に一七三二年に Th. S. Bayer 氏が Actis Eruditorum㊁ に於て論じたる所なりと云ふ。
 此の文字の系統を論ずるものは、皆此の説を奉じて疑ふ無かりしが、
見せらるるや、Schlegel㊂ 氏は一八九九年其の残なせる漢文を讀解し、碑文中羽羽可汗に係る可汗の發
僧に傳へらるる、に至れりと記さるゝ宗教が、ネストル派の基督教なることを主張し、而して此の碑の一部に記さる
るシリヤ文字の草體に類似せる文字を Redloff, Thomsen の語碑教なる回鶻文字と定めたれば、此の碑文はシリヤ文字
はシリヤ文字に類し、ネストル教徒が作成したるものなりとし、終に回鶻字の系統及び其の行はるるに至りし時代につきて前章に述べ
の上に更に一歩を進めしむるものなりとし、終に回鶻字の系統及び其の行はるるに至りし時代につきて前章に述べ
たる如き論述を齎すに至れり。茲に於て此の主張は金ゞ有力となりしが、然も上に述ぶる所によりて明らかなる

回鶻文字考

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