National Institute of Informatics - Digital Silk Road Project
Digital Archive of Toyo Bunko Rare Books

> > > >
Color New!IIIF Color HighRes Gray HighRes PDF   Japanese English
0068 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 68 (Color Image)

New!Citation Information

doi: 10.20676/00000267
Citation Format: Chicago | APA | Harvard | IEEE

OCR Text

更めて論遣の要あるなし、されば此の理由は此に存立す
に行はれたる説は全く其の根據を失べるものにして、其の系統と製作につきては、別に説明の施さるゝ所無かる
可らずとせば、囘鶻文字はネストル教徒の用ゐたるシリヤ文字より起き、此の教徒の作興に係るものなりとの一般
可らず。

    第二節 摩尼教徒の用ゐたるソグド文字より發達せりとの説

上に見たるが如く、囘鶻文字がソグド文字との間に有するの類似は、次がネストル教徒の用ゐたるシリヤ文字との
間に有するものよりも更に著しきものありとすれば、其の基く所を以てソグド字に歸せんとするは、極めて自然の
こと、且は否らず、されば、Gauthiot 氏の記する所によれば、Müller 氏は早くも一九〇七年ソグド文字につ
きて、一方其の體にして又、屡屡體 (cursive) と成れる囘鶻文字と、他方はセミチック文字との間に於ける位置
とを論じ、一方氏にも報したる所にて、一九〇九年 Radloff 氏の記する所によれば、此の考は又 Müller 氏が余に告げたるが如くに見ゆ
は此の年一旦 Müller 氏の見解に貸し、囘鶻文字はソグド文字を鹵用したるものに外ならざることを明かにせり、されば氏
同鶻文字がソグド文字の仲介によりて輸入せられたるものであることを誤識らしからざるに非ず」と曰へり、
るが、然も翌一九一〇年に至りては、復、囘鶻文字の字體はネストル教徒の用ゐたるニストランゲロ文字に酷似し
り、故に吾人は此の文字が初め囘鶻のネストル教徒の間に於て成立し、而して後摩尼教及び佛教徒の間に入りたる

一八