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0178 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 178 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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(アル、持ツ)なる動詞の名詞となりたるものなれば、此の兩語を「家及び家財」と
譯するは當れり、漢文の「家」なる語がたゞ「住家」のみの意に非ずして、家に屬す
るものを一切含みたる意を表はす場合に、此の二語を併せ用ゐて譯したるが如し、若
し住家のみを表はす時には、第六十二行に於るが如く卽ち「家」の一語を以てせり、
余は譯語の都合によりて只だ「家」と譯せしも、其の間如上の意味を有するものなる
を知るべし。
 (7)xaqadaš. 此の語ラドロフ氏の Tišastvustik の中にも見え、氏は語頭の xa な
る語は實は其の前に立てる語の第三格を示せる語尾にして、寫字が語の構成を知らず
して、誤りて之を次の語の頭に付するに至りたるものと見、qadaš のみを一語と見て
「仲間」(Gefährte) の譯を施したり、本書第二百八十三行に就て認むるが如く、xa
を qadaš と離して、獨立せしめたる例もありて、かゝる場合には氏の說けるが如く
xa は其の前の語の三格語尾と認め得べきが如きも、 然もまた第八十二行の例によれ
ば、此の語の前に立てる bolur なる語は、動詞の現在分詞にして、 名詞の第三格語
尾なる xa を附し得べきに非れば必らずこれ寫手の誤には非ずして、別にかゝる語が
存在せしものなるを知るべく、其の義は見命の意に用ゐるものなるが如し。
 (8)otvuts...は otvtsuz なるべく、而して ovutsuz(罪無き)の誤なるべし、「罪
欲」の二語を ovutsuz bilig を以て譯したる例はラドロフ氏譯贊門品第六十一行にも
見ゆ。
 (9)kövänč は高慢(Hochmuth)なる語にして慳貪に對せしめたるものなるべし。
 ⑽ itig yaratïr は ミュラー氏之を裝飾(Zierrath)と譯し(Uigurica, S. 29)
itiglig yaratïrlïr は其の形容詞として、「飾れる」の意と解き、ルコック氏亦た之に
從ひて、ラドロフ氏が itip yaratïp を「有爲に以て飾りたると」と解きたるを批難せ
り(Khuastuanift, J. R. A. S. 1911, p. 305)、されどかゝる「飾る」の意味は、
itmäk yaratmaq 卽ち「爲す」「作る」なる語を原義として生じたるものにして、最
へばミュラー氏が yiti ärdinin itiglig を「七寶を以て飾りたると」譯せるものも、
漢文には「七寶所成」と見え、又た本書第百四行に「所作所爲須作卽作」の「作爲」
に對しても此の兩語を用ゐるを見れば、能く其の意味を悟るを得べし、されば此處に
ても固は爲作・造作の意にして、漢文の「有爲」に對せしめたるものに外ならず、第
七十五行、第三百九十二行に見ゆるのも亦た同じ。
 ⑾ bulnng は bulung(隅・力・邊=Ecke)の誤寫なるべし。
 ⑿ täkirmän は「磑」に對するものにして、五體淸文鑑に「磑磨」の「磑」に對
して tokorman と記せるものも亦た之に同じかるべし。Čag. 語にて向は Mühle の
意に用ゐらる。
 ⒀ 此の語は今譯らかに知られど、 kištä なる語をトルコ語中の Tümentataren
及び Kasan 方言にて「橫木」(Querbalken)「梁」(eine horizontale Stange) と云ふ
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