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0180 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 180 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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詞的に用ゐられたるものに非ず、「名譽に道に」の義なり、「名」、「名譽」の義な
る at を「官」に對せしむるは認め得べきことなりとするも、「道」なる語は「官」
「位」何れの語にも對せしめ得べきに非るが如し、されば yol に「道」以外の意義
の存したるものなるべきか、暫らく疑を存せんとす。
 ⑱ 此の ät'özi(彼の身)は衍字なるべく、到玆此處に用ゐ得べきに非ず。
 ⑲ yaqī は yagī, yarī 等と記して現はるゝものと同じく「賊」「敵」の意なり、
色・聲・香・味・觸・法の六塵は、また六賊或は六盜とも稱せらるゝものなれば、此
處にては即ち此の六塵を指せるものに外ならず。
 ⑳ aša 成は asa。元來「食ふ」の意にして Kirghiz 語には「或物を取り入れる」
(etwas zu sich nehmen) の意に用ゐることラドロフ氏のトルコ語方言集に見ゆ、此
の義より出で、此處にてはかく「受」に對せしめたるものなるべし。
 ㉑ 百三十二行の ärür より百六十行の burxanlarning に至る迄は、所々に字句の
相違はあれども、ラドロフ氏の Kuan-ši-im Pusar 中にも收めらる、而して、此の
yükmäk なる語を以て、氏は Čagatai 語の yükmäk と關連せしむ可らず、寧ろ
yükmün=禮拜する (sich verneigen, anbeten) の古體ならんと云はれたれど、勿論
此處にては「積」なる語を譯したるものにして、Čagatai 語の yükmäk=belasten
(Radloff, Versuch d. W. d. Turk-Dialecte), yīghmāq=to collect, to bring together
(Shaw, Vocabulary of the L. of E. T.) なる語なりとす、Uigurica, II. 34¹⁸ に
yīq- として見ゆるものも亦た此の語にして、漢語の「積造」に對せしめたり。
 ㉒ ラドロフ氏の Kuan-ši-im Pusar 中の此の經の斷片には、ilänür yiltizi に相當
する所に ilantüči ärkintäči atlik atlī qačīxlar と見え、氏は之を譯して die Herrsc-
henden(?) und die Erstarkenden(?) benannten sechs (äusseren) Gefühlseindrücke
と記せり、(qačīx は六入の「入」の意にして、此の本には yiltiz 即ち根を以て現は
せり、六根も六入も同一の六官を指すこと勿論なり)、然も氏は注して何が故に此の
六人に Herrschende, Erstarkende の如き名を付したるかを知らず只だ語義を譯せる
のみなりといへり、此の本に見ゆる ilänür の ilän- はラ氏の本に見ゆる ilantüči の
ilan- と同語にして、即ち「支配する」の義なり、蓋し根なる語には種々の解釋あれ
ども、要するに增上の義にして「力を持つ」(梵 ind) なる意義を根本とせるものな
ること疑なし、大毘婆沙論卷百四十二には根の義を說きて「增上・明・現・察趣・鹵
・最・勝・主」の八義とせり、さればラ氏の本に die Herrschenden und die Erstar-
kenden benannten sechs Gefuhlseindrücke と見ゆるは此の義によれるものなること
疑なく、本書に ilänür の「支配する」「力强き」の意に外ならず。また次
の utyruray bälgüši なる語はラドロフ氏によれば ihre anregenden Merkmale の意な
りといへど、然も utyruray は旣にミューラー氏の Uigurica, II. 5⁴ 及び同書 5¹⁸ に
も見るが如く、vollkommen の意に用ゐたるものにして、漢語の「能」に相當し、
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