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0182 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 182 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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「或る場所を占なる」(eine Stelle einnehmen) の意に用ふと云へば、之に n を加
へて reflective の形としたるものなるべく、「定」に相當せしめたるものなるべき
か。

⑳ turmaq(存在する)及び turyurmaq (turmaq の causative form にして發生
するの意)の二語は、漢文に對當の語を認むる能はず、漢文のものにも此等の十二語
を十語とせるものあり、或は等しく十二語なるも其の間に各々相違の存するものある
こと枚異に擧げたるが如くなれば、此の譯本の原本も亦た此等の語に於て他の諸本と
異れるものありしやも知る可らず。

⑳ törü は「法」、süz は「無し」なれば törüsüz は「法無き」の意なり、uzig は
「優れたるもの」、「教師」の義、bitig は「文字」「書き物」の義なり、されど何故
に此の十二種の文字に對して、「無法の」なる語を加へしかを知らず。

⑳ al čaviš の二語はラドロフ氏によれば「方術」「機巧」(List, Gewandtheit)
の意にして (Kuan-ši-im Pusar, S. 63.) ミュラー氏譯の添品法經善贊門品には此の語
を「方便」の二語に對せしめたり、今之に從がふ。

⑳ ayu は ay+u にして ayu birür は「語り與ふ」「意見を寄す」の意なり、此
處にては、災禍を受けし人が邪師の許に至りて「種々の方便を相談する」の意なるべ
ければ問ふと譯せり。此の語また第二百十五行にも見え、邪師が問ふ人に對して意見
を興ふる意に用ゐたり。

⑫ sačïr は sač 即ち「撒く」(streuen) なる動詞より生ぜし語にして Vambery
氏の Etymolog. Wörterbuch によれば、此の意味よりして Čagatai 語にては「贈
物」の意に用ふと、蓋し部下より君上に對する贈物は、普通道に撒かれたるものにし
て、之より此の語義を生じたるものなりといふ。töküg もまた tök なる動詞に「灌
ぐ」(giessen, ausgiessen) の義あれば、之よりして sačïr と同義に用ゐたるものな
るべし、此等の二語は動詞として第百八十七行に用ゐられたり。

⑬ qavïra は別本には qayïra と見ゆれども此の本の方正しかるべし、漢文の
「偈」に當る語なるべれど、今其の語義を知らず。

⑭ oquš は Uigurica, II. SS. 35, 36, 37 等に oyus, oqus として屢々見ゆる語にし
て、漢語の「姓」「種」に相當す、オルコン碑文に見ゆる tgozogz 即ち toquz oyuz
(Rad. Die alttürkischen Inschriften d. M., S. 61.) の oyuz も、ラドロフ氏は民族の名
として解かるれども、思ふに亦た此の語にして、toquz は九なれば、兩語を以て「九
姓」の意に用ゐたるものなるべく、öčogz 即ち üč oyuz(同上、六十三頁)も亦た「三
姓」に外ならざるべし、而して本文にては yitinč oqušingatägi 即ち「第七姓に至る
迄」と見ゆ、これ漢文の「萬代」と相對すべきものにして、第七姓とは第七代目の子孫
の意に用ゐたるものなるべし。原文に「萬代」とあるを「第七代」の語を以て譯した
るは怪しむべきが如きも、たゞ長くの意にてかく譯せるか、或は原本に旣に此の如く

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