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0183 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 183 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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記されしか、或はまた筆者の誤寫に出でしか、三者中その一なるべし。
 ⑭ tos はラドロフ氏の方言集によれば Čagatai 語にて「系統」「家系」「家族」die Abkunft, der Stamm, die Familie 等の意なり、tāng は tāg と同語なるべく、同氏の Die alttürkischen Inschiften der Mongolei, S. 369 に tāg を「種」「姓」(das Geschlecht) と譯して、tāng と比せよと註せられしも此等の両語を同一と見られたる爲なるべし、されば兩語共に系統・種姓の意味にて同義の語と見るを得べし。さればまた tuš に「同等の價値」「友人」等の義あり、tāng は普通「均等」の義なれば、かく解釋しても兩語は同義にして、「互ひに同等のものを擇びて」の意と解し得ざるにも非ず、然も今は第一の解釋を施すを以て適當なりと信ず。
 ⑮ tüngür (tōngür?) bišük (別本に büšük と見ゆ) は「婚姻」の語に相當するものなるべし、Teleut 語に tüng を「夫婦」といへるは(ラドロフ氏方言集)これと關係ある語なるべし、bišük は今其の語義を知らざれども思ふに「續」「親」等の意なるべし、第二百七十八行には此の二語を「婚親」に配せり。
 ⑯ bolušup は bol+š+ʻp にして「兩者互ひに調和する」をいふ、Shaw 氏の Sketch of the Turki Language の單語集中に to become (one) with one another と解けるもの之れなり、今文義によりて「約し」と譯せり。
 ⑰ baqar bišük も今語義を知らず、第二百七十行に bayīr bišük と記さるゝものも、亦た此の語義に外ならず、或は ba-「結ぶ」より出でて、繫縛の意ならんか。
 ⑱ talula はラドロフ氏の方言集によれば、talu+la にして talu=trefflich なれば talula は gut machen, verbessern なりと解けり、されど、此の語は常に漢語の「擇ぶ」に對して用ゆること本書第百八十一行、百八十三行、百八十四行に於て認むるが如くなれば talu=trefflich の意よりして「選擇」の義を有するに至りたるものなるべし。
 ⑲ ular sabar は各々 ula (zusammensetzen, vereinigen), sab (ansetzen, einfädeln) なる動詞より生じたるものにして、共に結合の意なり、面して此の意味より第二百八十二行に見るが如く、「相應る」の意に用ゐ、又た第三百二十四行に於るが如く、「因縁」の語にも對せしめたるものなり。
 ⑳ 補注⑳を見よ。
 ㉑ törüsi の次に動詞「信ず」の如き語が脱せるものなるべし。
 ㉒ xar に「對する」(gegen, wider) の意ありて、これより qariš 即ち「爭」の語を生ず、要するに兩者相對するを示す語なり、第三百二十六行及び第三百二十九行にては、前後の關係上姿々と譯せり。
 ㉓ tsui は漢語「罪」の音を寫せるものにして、之に囘體語の性質形容詞を作る時に用ゐらるゝ添尾語を luγ を加へて「罪ある」の意に用ゐたるものなり、此の語時としては sui の音を以ても寫せるものあること、ラドロフ氏の Kuan-ši-im Pusar, S.