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0210 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 210 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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回鶻譯本安慧の倶舎論實義疏

一 緒 言

題記の書は英國のスタイン(Sir. Aurel Stein)氏が一九〇七年に、有名なる敦煌の洞窟からのべたものて、今は大英博物館(British Museum)の所藏に歸し、スタイン蒐集文書中、Ch. XIX, 001 と Ch. XIX, 002 との番號を附せられて居るものである。同氏の著はした Ruins of Desert Cathay の插圖に示された所に依つて、其の書物の形を知る事が出來るし、Serindia の圖版に依つて、其の數紙の見本を見る事が出來る。Ch. XIX, 001 の卷頭に、「惡地羅漢字で阿毘達磨倶舎論實義疏第一」と記され、それに對應する三行の回鶻文を隔てゝ、同じく漢字で「惡地羅末提遣……(此の間回鶻文)……唐言安慧」と見えて居るので安慧の作つた倶舎論の疏と認められるが、スタインの言……(此の間回鶻文)……ロス(Sir. Denison Ross)氏は之を世慧(Vasubandhu)と見て居るの事であり、ロス氏が作つた「スタイン氏蒐集」の目録に、Super-commentary on Shiramati's commentary on the 慧(Shiramati)の注の上に、更に加へられたる疏、Abhidharmakosa of Vasubandhu と記されて居る。自分は後に述べるやうに、同様に回鶻文書の目録に、少しく見解を異にして、之を以て直ちに安慧の倶舎論の疏と見るものであるから、前記の標題を附した譯である。

一四八

〔圖版第三圖 參照〕