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0218 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 218 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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も、今日まで世に偶はつて居ることを公にした人かないやうであるから、共に泗滅に歸したものと且はれる。普叙
が不行世慣哉と慨いたのも道理である。此の際嘗て漢澤本から回閲交に重澤された本書が發見されたことは、假令
それが一部分の殘卷に過ぎないにしても、甚だ直要の事件と言はなければなるまい。

五 漢譯本安慧の倶舎論實義疏

前項に於て、安慧の倶舎論の漢澤本が現存しないと考べられることを述べた。然るに自分は他國巴里の國民
圖書館(Bibliothèque Nationale)に於て、ペリオ(G. Pelliot)教授の教堂から贈った漢文書の調査中に、偶然を
の 3395 の書號を附せられた卷子の首に、「倶舎論集義疏發端」と題したものを發見したので、千古の澤書を搜求し得た喜に滿ちて、唐代の書體の上から見れば、早速其の内容を調べて見ると、覺者忍識末此遺唐に、同書の
各卷名を記したものが收められ、第一卷より第五卷までが、此の實義疏といふもの大部分
と、疑ふ可らざるものの如く思はれる。之が安慧の倶舎論實義疏と言ふことは、
は、安慧譯の倶舎論の頭と長行とを屬々抽出して之を連接したものに過ぎないのであって、此の五卷は倶舎論の
一より卷三まで、即ち界品から根品に亙つて居る。特に第一卷に少ふ於て、
性質を帶びて居ると思はれる所品もあり、また第四・五の兩卷中に「釋曰」として附せられた倶舎論の女句が三ヶ所に
存するが、それにしても之が光記や遁記に見えるやうに、安慧が正理師を論破する時に作つた倶舎論の疏があると

一五六