National Institute of Informatics - Digital Silk Road Project
Digital Archive of Toyo Bunko Rare Books

> > > >
Color New!IIIF Color HighRes Gray HighRes PDF   Japanese English
0343 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 343 (Color Image)

New!Citation Information

doi: 10.20676/00000267
Citation Format: Chicago | APA | Harvard | IEEE

OCR Text

して掲げられて居り、そうして岑僧慣法王・明秦法王・牟僧慣法王以外には、ヨハネ・ルカ・マタイ・ソーレ等の名を読ちに法王・
蘆伽法王・摩坦慣法王と接して居る。此等の例に依れば岑僧慣の三字はまず人名であるべきで、決して僧字は音韻・samgha
いふ語に接して居る。岑僧二字の唐代の音は Siṃmon であったであらうか、これは新約聖書に見えて
を寫したものである。きではない。ところでシモンはまだペテロ即ち「石」と名けられたことには、新約聖書に見えて
よく知られる通りである。さてベルシャ語では今も石を samg といい、ル・コック(Le Coq)氏が吐蕃書に得たる
(Simon)の對譯である。岑僧二字の對譯に相違ない。
リャ字ソグド語の新約音訳抄には、馬太傳第十章第七節の「シモン・ペテロ」に対して siṃon と対
ペテロに対して smg と書き、約翰傳第二十一章第七節の「シモン・ペテロ」に対しては siṃon smg 即ち siṃon
せしめてある。これに依りて考えると、岑僧慣の三字はソグド語を対比してこの siṃon smg に対
ペテロに常ると考へられる。従ってこの志慕玄安樂経に見える岑僧慣僧伽も、同様にまた此の語に対せしめたもの
相違ない。たゞここれには伽伽の二字を添えて居る。この経中の固有名詞が此の語の音訳であるか
は今判然定め得ない。暫くソグド語について此の形を求めて見ると、前に引いた smg石 の外に、語尾の鼻音
ⓐ 母音を伴ふた形 smg 即ち ˢsmg、なる形のあったことは、前の smg はソリャ文字で書いた形であり、或は用ゐ
たものであらうと思ふ。たゞ念の為に付け加へて置きたいことは、前の smgs はシリャ文字で書いた形であり、或は用ゐ
ia 文字の相違に依って生じたものかと思ふ。果してかく考へて差支へないならば、恰かも基語の Simgdus を
られた文字の相違に依って生じたものかと思ふ。果してかく考へて差支へないならば、恰かも基語の Simgdus を
  景教経典志玄安楽経に就いて