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0384 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 384 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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三三二

両者を対比して見ると、断片に見える此の話の一節であることは疑ないが、言ひ表はし方は大と異つて居る。殊に第二行に「イソップかく三べり」と記して、羊の鳴かざる所以をイソップが説明することになつて居るのは、著者が前著の書名と頁を挙げて居たのであるが、まさに此の断片を、摩尼教徒の女書中に収めて出版したかについては、目分の知る所に拠に附記して置く必要があると思ふ。著者は元来古代東西交明相互の偶播融合の上に於て、混成教たる摩尼教の傍を重く見る人であつて、かの基督教徒ではなして、摩尼教徒であること、ミューラー氏等と同様と称せらる。佛陀傳説の如きも西方に傳へたものは基督教徒ではなくして印度の佛教の傳説を西方に記し、希、臘や、

メソポタミヤ、イランの思想が吐蕃語に於る摩尼教したものは、東方の基督教徒ではなくして印度の佛教の傳説を西方に傳へたことを示すの見解の下に、此の小断片が吐蕃語に於る摩尼教徒なものは、ウィグル人の間に、イソップ物語の存在したことを示すの

d. Bell, Akad. d. Wiss. 1909, S. 1205 参看)。それ比の書の前所にも、

は、何等驚くに当らぬもので、従つて此の断片を本書中に所謂交縁木に傳へたのに外ならぬと思はれる。基督教の宣傳の篇に、遠く経東の島帝國に来朝した教父達が、同じ断片を本書中に所謂交縁木に傳へたのが、今日興味ある研究の對象として珍重せらるるのに思ひ較べて、興味は漸々として盡きぬ。