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0482 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 482 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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契丹文字の新資料

〔図版第一二一・一三図 参照〕

四二〇

古来支那の北方に據った民族の間には、その文字の基礎を西方諸國に行はれた音字に取ったものと、南方支那に行はれた支那字に取ったものとの両種がある。何れにしても此等の民族の用ゐたものとは、語系や音韻之を異にした音語を索出に適するやうに取ったのであるから、其の間に無理があり、語系や音韻之を異にした音々にとっては不便、後の研究者にとっては疑惑の点の存することは止むを得ない。中に西方の音字を用ゐた人のについては、その索出した音を示すことは甚しく困難ではなく(微細な点は別として)従って其の音字を変化して用ゐたものについては、語を研究解釋する第一の階梯に音を知ることが困難で、甚しき困難を感ぜないのであるが、漢字を難關に不遭遇する語は別に大なる難點を得ない。研究を進めること大なるべきはたしからも知れなかった西夏文字、今より五十餘年前に行はれた所謂女真文字などが、幾近や、解明せらるることになった文字のあることは、たゞ獨り契丹の文字に金に行はれた博學なる Wittie 氏を負してもも向どの國に行はれた文字であるから切込んで研究の出發點を進めること大なるべきはたしからも知れなかった。その資料が豊富であれば、どの方面からも切込んで研究の出發點を知ることが可能ではない。今よりして、たゞ獨り契丹の文字に至っては、其の資料すら従来殆んど存在せず、たしかなものとしては僅に宋の王易の燕北錄に、朕・勤・走・馬・此等の契丹字を載せ、陶宗儀の書史會要に之を轉載したものと思はるゝものが見えるのみであった、除・念等に對する契丹字を載せ、陶宗儀の書史會要に之を轉載したものと思はるゝものが見えるのみであった。