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0656 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 656 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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羽田博士史學論文集 言語・宗教篇

白鳥博士の思出

幕から春にかけて親しき寄りの客窗、さては骨肉までもの頼々たる訃音に悲みの絶える間もなく、いつまでも調はぬ寒々した氣候に呪をは思せて、照々たる春光を待ちわびた三月の末日、またもや白鳥博士の危篤、ついに永眠の悲電に接した。まさかとは思ひながらも何かの間違ではないかと幾たびに雪文を読み返したことであったが、「この地氣候快適氣分も正しく云々」のいつもの達筆にふるはれた湘南の便りに接してからまだ一月も経たぬ時であり、東都の友人たちからの報道にも、博士の日頃に健康を回復せられつゝあることが傳へられてあって、かるあり、巨星地にあたつの恐を慢い。併し同日の慌ぎつぎに驚かれることが諸方の通報は、思へば明治三十七年もあの世は夢にも世はぬことばかりで、巨星地に関んの恐を慢い、四十年にも近い歳月を通じて不断の敎導と激励とを家り、ひたすら學究の途を遂を得た自分にとっては、先生に對する追想は追憶と共に通じ學問を中心に二三の思出を記して見よう。

〔桑原博士東洋史前史論叢、昭和九年八月〕

五九二

は別の機會を選ぶこととして、ここには編者の需に應じて、たゞその學問を中心に二三の思出を記して見よう。