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0713 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 713 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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此の館内に陳列してあるものは十七世紀頃から今日に至る迄の綿緻なる露西亜の繪畫であつて、階上階下
の二十七かの室は惑く充た されて居る。それで露西亜の繪畫を研究しやうとするものは是非とも此の博物館と
は此のモスクワで有名なトレチャコフ繪畫館とについてせねばならぬといはれて居る。一體露西亜の畫といふの
宗教畫とか戦畫とか重なるものになつて居り、その宗教畫にしても天國の光明闊たる有様よりも、神韻を累て
苦艱の淵にか陰鬱なやうなのが多いというである。名物の雪と森とか牧場とかの類を描いた風景畫にしても、どこ
やらに陰鬱な國民氣分が現はれて居つて、明るい、晴れやかな、のびゝしたものはほとんど認められない。これ
は露西亜國民性とか自然界とか、どこやら自然の結果に外ならぬのであらう、名高いペレス・チャギンがかいた我
が日光とか長崎あたりの小品も見かけたが、どこやらに暗い筆つきは離れぬにしても、これらには流石に此の人の
作として有名な爛熳の岡の上を仰いだ驚が巣をまましにして居る畫に認めらる様な慘惨な氣分は漂うて居
なかった。