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0724 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 724 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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が、実はこの廣場に一面に問かれた卓と椅子とを占領する夫の事で、勿論頭の上は星の瞬め、青空である。食ひ
物の中で著しく變つて居るのは、青い唐辛子の料理と、玉蜀黍を形の儘で炙つたのをぼり〳〵かじる事だ。ちよ
つと日本の夏蜀黍を思ひ出させる。
 食い惡い玉蜀黍を興に乗つて、かうして喰ふのだ、かうしてだなど、Tさん――此の人もまだ当地拓殖の唯一の喰ひ方
を心得て居る程の日本の國民を代表して話し合ふことになつた。先輩から頻に自分を見てはいやいで居る内に、箭向ひに
居つた二人の老相國人と話し合ふことになつた。フォークの先に、三つばかり切つた玉蜀黍の一片を突き刺して、小器用に当
達の一人が、一寸相圓をして見せる。それ位の事は何でもない調子でビールのコップをさし擧げる、二人は自分等のコップを見せ、向ふは擧
て、低いながらも大にまごつく。Tさんが一ヶ杯を持つて来た顔れた顔子で驚くと、其の夫が日本に行つた事があるの
だと聞いて杯の無いのを見るので大に喜ぶ。Tさんは別のコップを持つて来るのであるが、其の夫が日本に行つた事があるの
で、寫眞などで自然日本を知り、自分等を一見して日本人と見定めたと大自慢である。こんな事が日僑語になる稀日
本とは縁の遠い地方に入り込んで来て居ることを考へると、急に旅の身の寂しさが襲つて来る。唐辛子は土地の人
は好んで喰ふが、獨逸人は好まず死んでしまふとか、氣狂になるとか、姉の婦人は話して聞かせた。そんな話を
聞きながら暑さ凌ぎに好んでビールの杯を重ねて居る内に、僕に胸が苦しく、立ちぐらみのするのを覺え

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