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0727 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 727 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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両腕を伸ばして欠伸をした拍子にマンテルピースの上の時計を見ると、夕暮のやうだがまだ三時だ。今頃京都は
四條通がおけら詣りで賑ふ頃かなと思ふ、勿論時差を勘定して考べだ。チョロくと燃える瞬儚の火や、見るとも
なしにぼんやり見て居る内に、下駄ばきの二重廻しや、背中に段を作つた女の姿や、くすぼる火繩や、四條の大橋
や、自家のものや、大きな鉦子でも見て来まわる前の家の氣狂までが、頭の中を去来する。

 『今夜は外に出て除夜の鐘を叩ぶ、大きな声から叫ぶ、これも讀みさしの本を横に、煙草でも吹かして居るらしい。
と相住居のSが隣の雪屋から叫ぶ、これも讀みさしの本を横に、煙草でも吹かして居るらしい。

 『何か變つたことでもあるのかね』
と聞くと、別に何もないといふ、それでも歳末年始の氣分は相當に人の心を動かすものと見えて、常にも人の二三大通りなど
論格別の事もないが、それでも歳末年始の氣分は相當に人の心を動かすものと見えて、常にも人の二三大通りなど
はぞろぞろ歩きの人で充たされてしまふのださうだ。

 近ごく日本から巴里に来たTと、格別深い知り合ひでもないのに妙な工合で打ちわれて當
夜の光景を見に出かけたさうだ、マデレンのお寺からリシュリューの通りまで、オペラを中にして大歌末通り十町

巴里でした正月

六六三