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0728 羽田博士史学論文集 : vol.2
羽田博士史学論文集 : vol.2 / Page 728 (Color Image)

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doi: 10.20676/00000267
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六六四

ばかりの群衆と明るさとに、氣を呑まれたのか、或は呑んだのか、兎に角マデレン近くの小鳥屋んを出て大に美味かつたさうだが、勉強の段に正月料理を食うて見ることに相勝が出来た。酒は佳し飾りつき一人前百何十フランヾかを料理屋に拂つて買って居るのだが、少し氣の毒でもあったとTが話した。何も知らぬ二人のこの料理屋は、拂の邊でも高麗。この通って居る家だらうだが、諸國から入り込んだ小金持が除夜や正月の氣分を味ふのに、少し高いとも何とも言はずに拂つたXが目出度。のでもなく、案内したTが格別悲しいのでもなく、霊し安價な犠牲に過ぎな日から。正月料理は死も角もとして、一つは異情國出て日本の人で、それへく誘ひ合せてかうした通りの大使の住館に午前十時頃に集合されたし、一つは本國の際夜気からも刺激せられて、そゞろ歩きを試みないものは少からう。

道濡れタつて居るオーシュ通りは降みないものは居ない、「行くくな」といふSの誘びに應じて居る。外を見ると新年祝賀は鳥みないものは居ない、日本では犬の様に目出度さにはない、Sの頷をして居るものだがと、知は同士居る佛人の間には「新年は」の挨拶換はされないが、「日本の様に」大して挨拶は遠い午前十時頃でもなし、軒並旅が出て朝風にタつて居る清新な感じを興へるやうな、こと忽勿論無い。

不足さうにSがいふ。大使館に着くと先着の同胞諸君が既に一階にも二階にも、一杯だ。日本の動章をつるした佛蘭西人も四五人来て居る。平生は減多にお目にかゝらない同胞の女性も十数人並ぶ。簡單なの菱郷案なのや挨拶が揮はれて、お目出たうの聲が四方から聞えると、流石正月のやうな氣分がせぬでもない。

大使の挨拶がすむと、一人々々御眞影の前に出て最敬禮をする。軍人の外は大概モーニングを着込んで居るが、