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0065 伊犂紀行 : vol.2
伊犂紀行 : vol.2 / Page 65 (Grayscale High Resolution Image)

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doi: 10.20676/00000279
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腔の感快と欣喜とを以て之を迎ふるより推せば、如何に戈壁旅行の艱苦なるかを
知るに足らん。要するに沙島は一に飲料水を得るの中継駅のみ。面もその水を
る頃々玉の如きものは到底望むべからすたるものに非ず、素よりも鹹味を帯びたる
れば或は温潤せる潜水を用ひて百を鼓せざるべからす鹹水なき
河水に至つては最好良の飲料とすべきも到る處に之を得ることは不可能なりと
す。
此の如く飲料水すら十分を望むべからす。其の他旅舎糧秣等も欠乏せりと雖
も沙島なくんは如何に人力の限を盡すとも數月の沙漠旅行は竟に逐行すべから
ざるなり。

五 沙漠と暴風

古来海洋に比せられたるの戈壁豊怒濤狂瀾の岸を嚙み天を拍つものを無からん
や。名は瀚海と稱すと雖も水を潜へたる洋に非らすして、沙を盈たされたる海な
れば多少海洋の激浪と其の趣を異にせり。若し夫れ風風盍然として起らんか乾
坤忽ち晦冥と爲り狂颷怒號地を捲きて來り電光閃灼天を撃ちて射る。樹木折れ

三一

第一章 地勢