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0069 伊犂紀行 : vol.2
伊犂紀行 : vol.2 / Page 69 (Grayscale High Resolution Image)

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doi: 10.20676/00000279
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し。

唯東部の瑪海才墟は暴風の隙伺比較的に少なき故に往時より支那及び蒙古地方の各種族は容易に移住し乂支那軍隊は幾囘の遠征を果し得たりき。然れども風害の絶無と云ふには非らず現に沙土を席捲して耕地を理沒したりき。風らしからす。古昔は往々大風の襲來を受けしもの如く一たび繁閙熱の市街遙に地底に沒せられたるもの少からず。就中其の退址の最大なるものは金銀の装飾品或は布淖爾等の地方に多く是れ古昔天山街路に雄飛して唐宋の軍を悩ましたる援蘭國且末國等の都址なりと云ふ。慄然たる猛将勇卒も風卒も征服に敵し難くその壯大なる都市と共に永く地底の眼に就けり。
要するに暴風の時期は各所稍々異なく而して其の風位及び大小の風差亦異なりと雖も強風は概して三四月と九十月の二期に多く遠雷の如き響を聞く。沙漠旅行中最も警戒を要するは實に此の暴風の襲來にありとす。又暴風襲來の前兆としては必ず遠雷の如き響を聞く。

第一章 地勢

三三