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『東洋文庫所蔵』貴重書デジタルアーカイブ

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0215 伊犂紀行 : vol.2
伊犂紀行 : vol.2
伊犂紀行 : vol.2 / 215 ページ(白黒高解像度画像)

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doi: 10.20676/00000279
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隷屬し不平等なる冷遇を受く心あるもの誰か感慨なからんや。只夫れ目下は
時機未だ熟せす。曾く苦痛を忍ばんのみ。說き去り說き來りて破顔一笑せり。抑もマホメット敎は低に欧亜に跨り一億
七千餘萬の大信徒を有す。されば其の可否は曾く彼等信心の堅固團
結心の鞏固と相俟て斯の如し。今後若し此の大信徒中に非凡なる英傑例へば遊
迷兒の如き大信乱を惹起せざることを無しとすべきからす。
欧亜に跨る大帝國を建設せんとせば、ムスルマン族の大帝國を撫してすべきからす。
然れどもムスルマン族の目下に於ける智識の程度は甚だ低く回敎國現在の勢
力は極めて微弱なり。故に今日の情勢に於ては近きに将来の如き現象の
呈露することも有るべしとは信じ難く云はゞ一の杞憂たるに過ぎざるべし。然れ
ども火あれば煙揚り因あれば途に果を結ぶは自然の理なり暫く記して讀者の參
考に供す。

亜細亜