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『東洋文庫所蔵』貴重書デジタルアーカイブ

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0087 伊犂紀行 : vol.2
伊犂紀行 : vol.2
伊犂紀行 : vol.2 / 87 ページ(カラー画像)

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doi: 10.20676/00000279
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流より流れ來る氷塊を受け止め斯くして厚さ約三尺に至らしめ車輪は其の上を
のみ往來するを例とせば。
 寒氣甚しきは齋桑塔爾巴哈台一帶の地にして極寒の際は殆んど氷雪中に在
る如く而も氣溫著しく順を缺きゐに常に途中凍するものの少からず。
齊に達したるは二月末なりしに常に午前華氏十度午後二十六度を示せ
り。以て嚴冬の近寒なるを知るべし。略推知するに冬季住々猛烈なる南路は北風から其の襲々人跡
を絕つに至ることあるべし。又撃には冬季住々猛烈なる南路は北風吹き交通危険にして間々人跡
所となるや寒氣頗に加はるは常なり。しとき前路は北路の甚しきに似たざるも予が一月
の末より二月の初め哈密附近を通行せぬ。但し吐魯番のみは甚だ温暖なりき。
 寒氣は北路の南路よりも緩なり。子の
伊犂に達したるは五月下旬にして當時の温度午前は四十五度午後は六十度とす。
盖し南路の炎暑酷烈なるは一に降雨少なきと空氣の乾燥甚しきと土地概ね高原
の沙漠帶なる爲め光線の反射激甚なるに因るならん。故に夏は滿地燒が如く白

第二章 風土

五一