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『東洋文庫所蔵』貴重書デジタルアーカイブ

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0172 伊犂紀行 : vol.2
伊犂紀行 : vol.2
伊犂紀行 : vol.2 / 172 ページ(カラー画像)

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doi: 10.20676/00000279
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者なく沿道到る處更に哈薩克の乞食を目撃せしこと無し。
彼等は兄弟数
人あれば大牛喇嘛借に喜捨するを常とす。
徒に剃髪して不生産的の借と称すべき者あるを聞か
の手業に聚る。是を以て蒙古族中富者は借りと云ふも取て誘言に非ざるを信
貨は大牛喇嘛借に喜捨するを常とす。故に蒙古族の財庫は自然に流れて喇嘛
一一三一

されば喇嘛借以外の一般蒙古人は概して貧しく富蒙と称すべき者あるを聞か
す。要するに蒙古族の財産分配の狀態は平等にして一般貧困なり。随て富者と
貧者との間は階絶なく稳なるも如し。而して蒙古人の財産を以て哈薩克に比
較すれば蒙古人は哈薩克族よりも遥かに貧なりと謂ふべし。
綱頭回は土着して農牧商工を営むも全般を概観すれば財産あるもの多からす。
即も貧者多く富者少なし。農民にして数百町の田畑数萬頭の牛羊を所有し商人
にして十萬の資あるは全省を通じて五指を屈するに過ぎす。随て極貧者に至
りては其の住家すら無き者あり。