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『東洋文庫所蔵』貴重書デジタルアーカイブ

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0190 伊犂紀行 : vol.2
伊犂紀行 : vol.2
伊犂紀行 : vol.2 / 190 ページ(カラー画像)

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doi: 10.20676/00000279
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第三節 回々教

勃興の由


新疆の回部に行はる、回々教イスラム教は耶蘇紀元を距る六世紀の末亜剌比
亜國に勃興せり。其の起るや回々實として迅電激雨の勢を以て蕃然四方に傳播し其の北
より東に向ふも、一瀉千里彭湃として新疆に入るや當時天山南路は國蹤を回幗と稱せり。
『イスラム教を呼びて回々教と日ふ
支那人は此時代の産物又は回々教に應ずる物を免れすんばあらす。而して其の世界に興起するや必す佛
宗教も亦努力に依る其他殊も一宗一派の開創者皆然らずして迦牟尼に於ける基督に
於ける物興より然る回々特殊に有るを認む。
史を繙けば第五六世紀の亜剌比亜國は實に蒙昧野蠻にして殆んど私闘の修羅
場たりしを知らん。即ち亜剌比亜人はマホメット出現以前に於ては未だ國民た
る組織を有せす。唯區區の遊牧民にして國内二三の都市下に生活する者ありと

マホメッ
ト出現前
に於ける
亜剌比亜