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『東洋文庫所蔵』貴重書デジタルアーカイブ

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0194 伊犂紀行 : vol.2
伊犂紀行 : vol.2
伊犂紀行 : vol.2 / 194 ページ(カラー画像)

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doi: 10.20676/00000279
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一五四

地誌之部

従するは人間の義務なりと思惟したり。因て彼は此のアルラーの道を敷へて、一般人民を救済すべき天職を負へる者たるを明かに體認し自ら其の主アルラーの豫言者實行者たることを確信せしなり。

マホメットがヘラ山中に於て得たる自覺信念は凝つて萬言の哥蘭經と爲り。彼は此の哥蘭經を懷き鼓吹して颯然へラ山中を出でメッカに歸るや熱誠を擁ひてアルラーの唯一神敎を世に現はれた始めなりとす「服従するなり時に」即ち是れ同々敎即ちイスラム敎の世に現はれたる始めなりとす。アルラーの神敎を鼓吹する爲には剣の力に頼るを以て萬難多の妨害を受け危険に遭遇したるも鐵石の如き決心と烈火の如き熱誠にて萬難を排除し窮境を脱し自己の信敎を擴布する爲め途には剣の力に頼るに至れり。

斯くの如くマホメットは時代の低劣なる思潮を達觀し時弊と要求とを深く看取してアルラーの唯一神敎を發揮し之に依て世の迷信を打破せんとせしは赤千古の卓見たるを失はす。

マホメットの鼓吹せし回々敎の敎義如何なるものかは彼がヘラ山中靜坐の