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『東洋文庫所蔵』貴重書デジタルアーカイブ

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0244 伊犂紀行 : vol.2
伊犂紀行 : vol.2
伊犂紀行 : vol.2 / 244 ページ(カラー画像)

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doi: 10.20676/00000279
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一〇四

立ちて牧場に誘導すれば家畜は之に随行して離散することなく到達す。若し途
中路草を食ふなと列を離るゝものの有れば犬は高く吠へて之を制し夕刻帰合の時
も亦同じ。犬は牧者に缺くべからざる助手にして平素訓練の効転た感すべし。
馬の名産地は喀喇沙爾にして吐爾扈特族の牧養する所とす。世に伊犂馬と稱
するは即ち喀喇沙爾の産馬なり。之に次ぐ巴里坤の産は體格格矮
小性質慓悍御し難きも頗る強健なり。故に乗用としては伊犂馬を賞用す。其の
るは殆んど亞刺比亞馬に彷彿たり。其價格は平均二十兩乃至三十兩内外とす。
ては巴里坤馬を稱するものの有り。是れパミール高原バダクシャンの産の
外荷は世に略什嗎爾馬と稱するものは伊犂馬を競用駄馬として體格偉大性質温順其の良な
馬なり。

牛は伊犂の産を最良とし毎年露國に輸出するもの二萬除頭に及ふ。其他の
地方に在りては北路よりも南路に多く價格は約二十五兩内外とす。

羊 牛

羊は一般に土人を始め中央亞細亞の全體に住居する同々教徒の常食物なれば其
の需用の大なること質に想像の外に出づ。故に羊の飼養は南北兩路とも甚だ盛