シルクロードに関する多彩なトピックを、貴重書アーカイブの資料を織り交ぜつつ、北京大学・考古文博学院の林梅村教授を中心とするシルクロード研究者に紹介していただきます。

序言

林梅村 (北京大学考古文博学院教授)

シルクロード研究は19世紀に始まり、欧米、日本そして中国は遙かな中央アジアの砂漠と神秘的なチベット高原の考古学的探検に調査隊を次々と送り込み、人々の心の琴線に触れる旅行記、大部の考古学的報告書、美しい風景写真集などが多く残された。現在、これらの書籍はすでに絶版となり、世界各国の図書館に「貴重書」として収蔵され、手に触れる機会も非常にまれになってしまった。中国の知識人が千年の昔から追い求めてきた「秀才は門を出ず、天下の事を全て知る」という理想は、まさに消滅の危機に瀕している。この残酷な現実に対して、日本の国立情報学研究所と東洋文庫は近年、英語、ドイツ語、日本語、イタリア語、フランス語、ロシア語、スウェーデン語、中国語の八カ国語で書かれたシルクロード関連の貴重書を内容とするディジタル・シルクロード(Digital Silk Road,略称DSR)を合同で立ち上げた。このバーチャル図書館の登場は、世界の知識人、特に古代東西文化交流に関心を持つ読者に多大な便宜をもたらした。北京大学考古文博学院の教員、大学院生と外国人留学生は、このディジタル・シルクロードが提供する資料を用いて、「西域文明の発見」と題するイントロダクションシリーズを執筆する。執筆予定は以下の通りである。

目次

執筆者リスト

索引

ディジタル・シルクロード